no title(2008)

大切なことは楽じゃないよ
生きるのも愛するのも
信じるのも頑張るのも
だから怖くなるけど
大切だってわかってしまったから
仕方ないよね


   * * *


神様、
あの日屋上で願った通り星が流れた時あなたを信じると決めた
神様、
幸せになれないのが運命ならこの存在に何の価値があるのと闇の中であなたを恨んだ
神様、
現在までを否定されてこの先なんかないと思った時いつも言葉を運んできてくれた
神様、
本気を忘れた私に手に入らなくて泣くほど大切なものを教えてくれた
神様、
永遠なんかなくても一緒に目指す人が隣にいる今だけで生きていてよかった
神様、
願って叶わないことをもう嘆きはしない
自分の力で叶える未来があると信じてるから


   * * *


当たり前のように生きられたら幸せだと思った
だけど
こんな私だからこそ
見える世界が
紡げる言葉が
今の出会いが
あるのだろう
だから
もしこのままでも
途中で倒れても
全てを捨てはしない
痛みも温もりも共に連れていく


   * * *


私を一人で生きていけないというあなたの言葉は
鋭い痛みを与えながら
解放に導く真実で

世界を壊してしまいたい孤独に襲われても
嫌になるくらい不器用でも
さまざまな距離にいつも誰か助けてくれる人がいた
時には当たり前のように
時には自ら手を伸ばして
あなたが大切なその一人であったように

望むように変われなくても
きっと今もこれからも
私は一人にならないでしょう
そしてどれだけ離れても
あなたは私を一人にはしないでしょう
だから強がりと怖がりで
一人で生きていくことを選ばなくていい
大切な人のいる自分に自信を持っていいんだ


   * * *


伸ばした手は
未来への鍵で
紡ぎ直した言葉は
変わりゆける証で
生きていることは
諦めない強さの結晶
だから
今日の意味を捜し回らなくて大丈夫だよ


   * * *


一度
伝わらない歯痒さと
求められない絶望に
堕ちて
それでも求めるのか
何を捨てられるのか
問うて
穏やかに閉じた時を経て
もう一度
立ち上がって
不確かな地面でも
不完全な自分でも
歩いていこうと決めたんだよ


   * * *


温室栽培された私は
冷たさを知らず
光しか見ず
生きてきた
外に放り出されて
ブランドを失って
細かい傷が増えて
それでも
生きていくのだと
生きていけるのだと
気づいた時泣いた
きっと
まだ枯れるまで時間はある
だから
零した涙をまとって
本当の強さと美しさを
探しにゆこう


   * * *


心のどこかに穴が開いていて
完全に満たされることはなく
不安から逃れられないとしても
さらさらとこぼれる幸せの欠けらを感じながら
それでもゼロにならない心を慈しみながら
時に目を閉じて微笑んで
また一歩を踏み出すだろう


   * * *


痛みは消せなくとも絶望は紡がない
人に伝えることを、人と繋がることを選んだのだから
その誓いだけは守り抜きたい


   * * *


自分が何に傷ついているのかわからなくて
必死に笑顔を作り続けた
だけど
幸せの中にいるからこそ小さな傷も痛むのだと
どんな一日を生きるのも楽ではないのだと
認めて涙を流しても大切なものが壊れないとしたら
恐れも期待も少しずつこの胸の中で溶けて
明日に手を伸ばせるようになるだろう


   * * *


繰り返し選択を間違える自分も
人より多めに課せられた課題も
少しの無理に耐えられない身体も
憎みたくなるよ
だけど
すべてに意味があると知った上で今の私があるから
憎み切ることなんて出来ないんだ
だから
愚かさを抱き締めて
全てを失う紙一重のところを歩いていく


   * * *


「何で生きているんだろう」と呟かずにいられないあなたと
「何とかして生き抜きたい」と歯を食いしばる君が
この同じ世界で生きている
自分と他者の支配のバランスに振り回されて
狭い世界で正しさを探しながら
それでも今、生きている


   * * *


崩壊する世界でも
残らない光でも
今ここに輝く瞬間
偽りのない温もりがある

しがみつく日常でも
ぎこちない笑顔でも
今ここに留まる瞬間
未来を思う強さがある


   * * *


幸せになるために生きることを決めたんだよ
幸せに満たされなくても生き続けてゆくけれど
傷の数の方が多いと知っているよ
それでも笑顔になれる瞬間に救われるから

不安を呟く私の隣に「大丈夫」というあなたがいる
あなたと過ごした時を「楽しかった」と言えるから

幸せになりたくて
新しく生まれる傷にも笑って立ち向かうんだ

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