Treasure

それは一枚の写真だった
日の出を写した とても美しい写真
地平線が薄黄色に輝き
中心では 今まさに昇ろうとする太陽が 力強い、眩い光をたたえ
そこから暗い空に 全体に 光の筋が幾本も広がっていた
「綺麗」 そう、思った
そうしたら
心の中に、うわっと 色々なものが一斉に浮かんできた

満開に薄紅色の花をつけた桜の大木
優しい春の風に吹かれて そこから舞い落ちる花びら
上品な小さい花をほころばせた梅の木
澄んだ声で春を告げるホトトギス

明るくじりじりと照りつける真夏の太陽
真っ白な入道雲が浮かぶ青空
白い波が映える夏の海
キラキラと輝く珊瑚礁
珊瑚礁に守られた小さな魚達

花壇に咲く 七枚の花びらをつけたピンクのコスモス
公園の片隅に佇むイチョウの木
イチョウといるとより美しい 情熱的な色の紅葉
金色の穂をつけた稲
その恵みを得る私達

空から降る真っ白な雪
うっすらと雪化粧した山
澄んだ空で瞬く たくさんの星達
今はもうそこに存在しないかもしれない 儚くも美しいもの達

心の奥底に いつからか眠っていた「綺麗」なもの達の記憶
こんなにたくさんの綺麗なものがあることを 私は一体いつから忘れていたのだろう
世界はもう「汚い」のだと いつからか思い込み
もう駄目なのだと 首を横に振り俯いて 一人涙を流していた
けれど今 こんなにも心は温かい

目を閉じれば綺麗なものは
ずっと 私の心の中にこそあったのだ
もう絶対に忘れない 大切な「宝物」の記憶

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